タイトル未定というアイドルが本当に良い、という話。

僕はどうやら、タイトル未定というアイドルが好きらしい。ふわっとした文章で申し訳ないのですが、ライブに行ったこともなく、個人のパーソナリティもよく知らないので、こういった形になってしまいます。

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けれど、タイトル未定が2022年一番聴いたアーティストなのも事実で、僕自身、なぜこんなにも彼女たちの歌に惹かれているのか、ここで言語化することで、自分の好きと改めて向き合ってみようと思います。

過ぎゆく時間の美しさを教えてくれる

僕がタイトル未定のどこが好きかを考えた時、一番最初に思い浮かぶのは、過ぎゆく一瞬一瞬を大切に掬い上げていることでした。

例えば『踏切』という曲。

再生ボタンを押すと聞こえるのは、踏切が下がる音、電車が通り過ぎる音、そして流れ出すイントロ。

曲が始まってたった数秒で、何かに悩みながら歩いていた少女が、踏切の前で立ち止まっているのが情景として思い浮かびます。

そして、電車の音の後からそっと流れ出すイントロは、まるで踏切が上がった後、少女が歩き出すその一歩目のように感じてしまうんです。

『踏切』は、最初は夢と現実の間で悩む少女が一歩ずつ踏み出し、顔を上げて走り出し、速くなる鼓動を感じながら、過去も弱さも抱きしめて新しい自分に会いにいくまでを描いた、とても素敵な青春の一コマです。

抱える弱さをしっかりと認識した上で、それでも息を切らしながらも自分を探し続けていくんだと歌う彼女たちの強さに、心を打たれてしまいます。

そして、迷いもがく一瞬一瞬の連続を"それでもいいんだ"と受け止め、"綺麗でも、汚れていても、誇らしく胸に飾りたい"と歌う彼女たちの美しさに、胸が締め付けられてしまいます。

タイトル未定のコンセプトである『何者かにならなくていい。何者でもない今を大切に。』をよく表した、とても素晴らしい楽曲だと思います。

踏切以外にも、タイトル未定の楽曲から受ける僕の印象はそう言ったものが多いです。

彼女たちの楽曲は、ことごとく心の機微を描いています。その中で、それらを表現するモチーフがとても儚く、美しいんです。

見つけた虹を目指そうと言える清々しさと、無謀な道標も君となら、と思える晴れやかさ。

星のように輝き続けるからと思える強さと、今は届かなくてもいつか見つけてほしいと思う少しの弱さ。

青く暑い夏の中で少しずつ涼しくなる夕暮れを、そんな青とオレンジが混ざった夜を、何度でも繰り返したいと願う無邪気さと切なさ。

暗闇の中でそっと足元を照らしあう灯火のような仲間との絆の暖かさ。

彼女たちの楽曲は、心模様や風景、季節といったグラデーションで満ちています。

目を離すと一瞬で過ぎ去ってしまうその儚さがたまらなく愛おしいなと思うし、とても美しいと思うし、本当に好きだなと思うのです。

強くて脆い、弱くて芯のある歌声

曲や歌詞の魅力について語ったところで、次は彼女たちの歌声の素晴らしさについて語らせていただきます。

『薄明光線』が良い。

薄明光線は、自分の内側に閉じこもった少女が、未来から溢れる一筋の薄明かりが見える希望と、見えてしまった光から目を逸らしたい弱さを描いた楽曲ですが、その素晴らしさを最大限に引き出しているのが、紛れもなくタイトル未定の歌声なんだと思っています。

傷つくことから逃げて生きてきた自分への、自嘲的で諦めをまとったような低音。

それじゃダメだと分かっているのに、それでも逃げてしまう自分へ叩きつけるような、悲痛な叫びのような、強くハスキーな歌声。

そして、薄明かりの向こうにそっと希望と願いを託すかのような、美しく透明感のある儚い歌声。

歌詞が表す現実の痛みや辛さ。そして、それらを受け入れながらも、前を向いてしまうほどに焦がれてしまう"美しい何か"があるという希望を見事に歌い上げているタイトル未定の歌声が大好きです。

冨樫優花さんの歌声が良い。

車を運転している時や、仕事の休憩中、資格試験の勉強をしている時など、僕は気が向いた時に良くタイトル未定を聞きますが、日常的に耳に入る楽曲の中で、たまにハッとするほど素晴らしい歌声に気づきます。

薄明光線一番サビの『そうやって毎日生きてきた』、鼓動二番サビの『歓びを分かち合えたら』、青春群像落ちサビの『優しい嘘も覚えちゃって』などなど。

曲に合わせて喜怒哀楽を乗せているのはとても分かるし、もちろん素晴らしいなぁと思うのですが、彼女の歌声はその奥にどこか寂寥感のようなものが隠れているように聞こえて、その切なさに胸がキュッと苦しくなってしまいます。

特に、前人未踏ツアーの鼓動はここ最近で一番心を動かされました。(4分だからまじで見て)

「鼓動」タイトル未定 前人未踏TOUR FINAL 北海道公演 - YouTube

優しい嘘も覚えちゃった彼女たちだけれど、好きには嘘をつけないんだよなって熱くなってしまった。

歓びを分かち合える仲間がいることの素晴らしさと美しさに、彼女たちがタイトル未定というグループとして今ここにいて本当に良かったなと思った。

楽しいことも、苦しいことも沢山あった彼女たちだから、今日が素晴らしい今日なんだと、明日も素晴らしい明日にしていくんだと歌うその姿が、本当に綺麗に見えました。

ありがとう。

青春群像が良い。

『青春群像』というアルバムの中で、自分の弱さと向き合ったり、先が見えない不安とそれでも向き合ったり、熱い想いを感じた予感を信じて、息を切らせて走ったり。

そんなタイトル未定が駆け抜けてきた一瞬一瞬を星に例えて、今までの全てが輝いてるんだと丸ごと抱きしめるアルバムと同名の『青春群像』。

この曲、なんか初めて聞いた時に泣いてしまったんですよね。

タイトル未定の楽しい曲も熱くなる曲も大好きだけれど、僕が特に惹かれるのは、未来への不安とか、見たくない現実とか、そう言ったものから逃げない強さと、頑張る彼女たちの姿と、痛みや弱さも全てが大切なんだと抱きしめているところが、とても美しいと思ったからで。

この楽曲は、そんな彼女たちの全てが輝いてるよ、あなた達が星なんだよって伝えていて、それを歌う彼女たちの晴れやかな歌声が本当に大好きで、泣いてしまったんですよね。

結局のところ、好きなんだよなぁ。

見ていて、気がついたら笑顔になってしまう川本空さん。

いつだって真っ直ぐ心に歌声が届く阿部葉菜さん。

表情や歌声、ダンスから彩度高く感情が伝わる谷乃愛さん。

寂しさをまといながら、強く、優しく、美しく歌う冨樫優花さん。

世の中には素敵な曲が沢山あるし、歌が上手い人はいくらでもいるし、ダンスが上手い人もいくらでもいるけれど、僕はやっぱりタイトル未定が好きだなぁと思う今日この頃です。