‪虹ヶ咲‬&DECO*27の最新曲「無敵級*ビリーバー」をチェックしよう。

‪虹ヶ咲‬学園スクールアイドル同好会に所属する中須かすみが歌う「無敵級*ビリーバー」は、作詞:Ayaka Miyake、作曲:DECO*27 、編曲:Rockwellという布陣で制作された。

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大きな隆盛を見せたボカロシーンを常に最前線で牽引してきたDECO*27が、ラブライブの楽曲に参入してくると判明した時の驚きは筆舌に尽くし難い。それくらいに心が踊り、期待に胸が膨らんだ。

 

無敵級*ビリーバー

無敵級*ビリーバー

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この曲の凄いところはどこだろう。

私の所感だが、それは純度100%の中須かすみの楽曲であり、しかしまた純度100%のDECO*27の楽曲であると思えてしまうところだった。

作曲者のDECO*27と、DECO*27の楽曲を数多く編曲してきた相棒であるRockwellは、楽曲の中に弾けるような輝度と疾走感を、4分間の中に溢れんばかりに詰め込んでくれた。

しかし、中須かすみの楽曲だと100%思えるためには、どんな言葉で何を歌うかにかかってくる。作詞のAyaka Miyakeの素晴らしさは‪虹ヶ咲‬の各ユニット曲の歌詞からひしひしと伝わってくるが、やはり今回も例に漏れず素晴らしい言葉選びだった。

 

DECO*27の楽曲は、愛言葉やキミ以上、ボク未満、そして妄想代償感傷連盟や弱虫モンブランのような、愛や恋の清濁を描き続けてきた。

また、夜行性ハイズの一節「死にたい 消えたいも異常じゃない」のような、弱い心の部分を受け止める描写も強く印象に残っている。

チョコレートのような"甘い部分とビターな部分のバランス"が、私にとってDECO*27をDECO*27だと認識する大きな要因となっているのだ。

 

ラブライブは、高校生が部活動としてスクールアイドル活動を行う日常を描く物語であるが、その中でも虹ヶ咲‬は他作品と違い、個々のメンバーの切磋琢磨がひとつのテーマになっている。

そんな特色の作品の中で、中須かすみは「可愛い」へ向ける気持ちが人一倍強い女の子なのだが、しかしそれは高慢で自意識過剰的なものではない。

彼女の周りには、可愛く、美しく、強く、熱く輝く8人のメンバーが居て、そんなメンバーたちに負けないよう、自分の可愛さに磨きをかけているのが中須かすみなのだ。

彼女が言う「可愛い」は、自分の可愛さを信じて疑わないというより、周りに負けたくない気持ちと、不安な気持ちを打ち消すために自身に言い聞かせているようなニュアンスが含まれているように思う。

無敵級*ビリーバーのMVは『鏡の前に立ち、笑顔の魔法をかけることで、中須かすみは最強に"可愛い"中須かすみへ変身できる』という内容だが、不安や自分の不甲斐なさ、不器用さをきちんと認識しながらも、それでも笑顔の魔法で可愛くなりたいと願う少女の胸の内が、先述した輝度と疾走感の中にブレンドされているのだ。

この愛おしさが溢れて止まないスウィートとビターのギャップこそが中須かすみであり、そしてDECO*27の作風にとてもマッチする大きな要因なのだと思う。

 

中須かすみの輝きはあまりにも眩しく、思わず目を細めてしまう時があるけれど、しかし彼女のビターでほろ苦い部分が、細めた目をもう一度開かせてくれる。より彼女のことを見ていたい気持ちにさせてくれる。

そして、彼女は歌う。

この世界中の全員がNoだって言ったって

私は私を信じていたい

しかし、世界中の全員が貴女をNoだと言うことは、きっと有り得ない。

なぜなら、私の周りには貴女を心の底から応援している人で溢れているから。

中須かすみが中須かすみを信じることで不安を吹き飛ばす無敵な気持ちになれるのが"無敵級*ビリーバー"なのだとしたら、そんな中須かすみを信じるファンは、より貴女を輝かせる存在なのだと思う。

 

アイドルが輝き、ファンをトリコにし、そのファンの声援がアイドルをよりアイドルたらしめる。

中須かすみは今、正真正銘アイドルをしている。

 

是非一度、無敵級*ビリーバーを聞いてみてほしい。