皆さんは『AQUA』、そして『ARIA』という漫画をご存知でしょうか。
20代後半から30代の方は知っている方が多いと思いますが、20代前半の方で知っている方は少ないように思います。勝手なイメージですが(笑)。
※『ARIA』は全12巻となっており、『AQUA』全2巻の続きの漫画となっている為、ここからは『ARIA』という一つの作品として統一します。
僕、この漫画が大好きなんですよね。お気に入りの漫画は枕元に近い本棚にしまっているのですが、この漫画は常に一番近い棚の一番近い場所に置いています。
この漫画を読んで劇的に人生観が変わったり、自分の考え方に大きな影響をもたらしたり…という事はないのですが、その日一日学校やバイトを頑張って、疲れたー!ってベッドに寝転んで一話だけサッと読む。んで、良い話だったー!寝る!みたいな。そんなルーティンを繰り返した学生生活でした。それは高専を卒業して社会人になった今も変わっていません。
個人的な話ですが、僕は落ち込むことやちょっと辛いことがあった日の夜、ベッドに寝転んで目を瞑るとその出来事がフラッシュバックして寝付けなくなることが多いです。周りからすれば「そんなことで悩んでんの?!」と言われるようなことでも、その時の僕からすると結構頭を悩ませてしまうんです。
だけど『ARIA』と出会って少しだけ。いや、本当に沢山の『明日への活力』を貰いました。
そんな、僕の好きな漫画を紹介したいというのが、今回のブログの話です。
ARIAのストーリー
かつて火星と呼ばれた星が、テラフォーミングにより地表の9割が海に沈んでしまった水の星『AQUA』となって150年程経った頃。
主人公・水無灯里は、ヴェネツィアをモデルに作られたAQUAの観光都市『ネオ・ヴェネツィア』で、観光案内を仕事とする水先案内人(ウンディーネ)を目指し、ARIAカンパニーの見習いとして新天地へと飛び込んでいく。
その中で沢山の出会い、気づき、成長を経て、見習い(ペア)から半人前(シングル)、そして一人前(プリマ)になるまでの物語となっています。
ARIAの魅力①『日常』というかけがえのない『時間』
ARIAには沢山の魅力があり、それらひとつひとつが互いにその魅力を高め合っているのです。
沢山あるうちのひとつは、灯里やその友人たちが水先案内人の修行の日々の中で織り成す『素敵な日常』と、その日常の積み重ねの先にある、彼女たちの『成長の瞬間』。
少年漫画のような手に汗を握る展開はありませんが、ゆったりと、けれど確かに過ぎていく『時間』が愛おしくてたまらなくなるのです。
一緒に頑張ろうと手を取り合った仲間、愛華・アリスとの日々。
会社の先輩として、人生の先輩としていつも一緒に居てくれて、短くない素敵に溢れた時間を過ごしたアリシアさんとの日々。
一人前(プリマ)になるという事は、水先案内人の仕事が忙しくなるという事。それまでは一緒に居られた『練習』という時間が無くなってしまうという事。いつか来る『終わり』がゆっくり近づいてくるからこそ、彼女達の『普通』というかけがえのない愛おしい『日常』が、この作品の魅力のひとつになっていると思います。
ARIAの魅力②『日常』を支えるネオ・ヴェネツィアと天野こずえの画力
灯里たちが過ごす日々は手に汗握るものではない。積み重ねた日常回が、いつか来る成長の瞬間の感動を何倍にもする。山場が面白いのは分かった、じゃあその普段の日常回はどうなんだと思う方。ご安心ください。その日常回もまた、とても素敵なお話の連発なのです。
ゴンドラを掃除、メンテナンスするだけの話。高潮や梅雨の中であえて街へ遊びに行く話。雪だるまを作るだけの話。灯里が過ごす時間は、その気になればその世界の人ならだれでもできるもの。けれど灯里はその中から『素敵』を見出すことで、『普通の日々』を『素敵な特別』へと変えていくのです。
その為には、まず「普通」を描くための土台となる『ネオ・ヴェネツィア』がしっかりと描かれていなければなりません。つまり、ネオ・ヴェネツィアがフィクションではなく、灯里たちにとってのリアルであることが重要です。一言でいうと『没入感』です。
そんな『没入感』を高めてくれるもの、それが作者:天野こずえさんの『画力』です。
風に靡く髪を見るだけで、潮風の涼しさを感じてしまうのです。モノクロの絵から、遥かなる蒼色を感じてしまうのです。静止画の中で、風が吹き、海が凪ぎ、彼女達の息遣いが感じられるのです。
あの世界はフィクションですが、本を開くと確かにそこにある、もう一つのヴェネツィアなのです。
ARIAの魅力③『日常』と『特別』、時々『摩訶不思議』
ARIAには、時々ちょっぴりホラーチックなお話が急に飛び込んできたりします。直前までほっこりドキドキして、ふふってなっていたのに、次の話は背中がゾッとするようなものがいきなりやってきたりするのです。
ARIAは、日常の中にテラフォーミングなどの進んでいる技術と、妖精や精霊といった不確かなものの両方が出てくる珍しい漫画で、そのアンバランスさを絶妙に物語のスパイスや緩急に織り交ぜてくるのです。
けれど、それらのお話は『ホラー』とは言い切れず、『オカルト』とも言い難いもの。やっぱり、しっくりくるのは『摩訶不思議』。
『普通』と『特別』という表裏の間から、たまに顔を出してくる不思議なお話が、僕は大好きだったりします(笑)。
おわりに。
さて、ここまでつらつらと書いてみました。いかがだったでしょうか…。読んでみたくなった、もう一度読み返したくなった、などなど、もしARIAに興味を持っていただけたのならとても嬉しいです。
6,7年前に古本屋でたまたま手に取った漫画の表紙がとても美しく、中身も見ないでレジに持っていったのがAQUAの一巻でした。そこから少しずつ買い集め、ゆっくりじっくり読みました。
灯里の言葉で笑顔になって、灯里の成長に涙して、すごく心が軽くなったのを今でも鮮明に覚えています。
皆さんにとってもタカラモノの漫画があると思います。大切にしている漫画があると思います。そのタカラモノが、僕にとっての『ARIA』です。
皆さんはおすすめの漫画はありますか?人に薦めたくなる漫画はありますか?良ければTwitterにでも呟いてみてはどうでしょうか。同じ趣味の方や、興味を持ってくれる方がいらっしゃるかもしれません。
好きなものを好きって言いにくいし、嫌なものを嫌とは言いにくい今のご時世ですが、自分の好きなものを大事にしていくと同時に、誰かの好きを尊重していきたいです。
そして、自分の『好き』と誰かの『好き』が重なる幸せを夢見て、これからも色々と発信していきたいと思いつつ今回はこの辺で終わろうと思います。
ここまで読んでいただきありがとうございました!
ぷいぷいにゅっ!