統廃合で無くなる学校の、閉校祭を巡る物語。
端的に言って最高の話でした。
今回の♯11「浦の星女学院」、最初から最後まで優しさで溢れた物語でした。製作スタッフ、キャストの皆様には感謝してもしきれない思いです。
言葉にすると薄っぺらくなりそうな感じは否めませんが、それでも言わせてほしいです。
本当に本当に、素敵な話をありがとうございました。
制作陣へ最大級の感謝の心を持ちつつ、それでは感想に移りたいと思います。
今回も書きたいことを勢いのままに書いていきます。超個人的主観、思い込みなどを多分に含んでおりますので、読まれる際はご注意ください。
さて、今回は6つのトピックスです!
Aqoursに負けていない輝き
学校の皆が言ってくれたんだよ?
閉校祭をやりたいって!
Aqoursは学校の名前を残すために全力で頑張れる場所があります。しかし、他の浦の星女学院の生徒たちはそうはいきません。
彼女達に出来ることはAqoursの頑張りを応援することだけ。だからこそ、この学校に直接何か恩返しがしたい。何かを残したい。そう思っての閉校祭の申請だと思いました。
申請書の内容にも書いてあります。
今年度でこの学校が統廃合することが決定してしまいました。しかし、このまま何もせずにただ学校が閉校するする姿を見ているだけというのはとても寂しいです。
Aqoursがこの学校の名前を残してくれる。
けど私たちもこの学校の生徒として何かを残したい。
つきましては、閉校祭という形で学校全体が盛り上がれるイベントを行う許可をお願いいたします。
最後は浦の星のことを想ってくれる卒業生や近所の人たちも交えてこれまでの長い歴史に感謝を込めて締めくくりたい。
これが今の私たち、浦の星の生徒みんなの気持ちです。
自分たちで出来ることを考えて、みんなで相談して、実行まで持っていくんですよ、この子達。とっても輝いていると思いました。
そこでハッとしたんです。
Aqoursだから、スクールアイドルだから輝いている、スクールアイドルになれなかったから輝いていない、じゃないんです。
学校が好きで何かを残したい、皆の為に何かをしたいと思うから輝いているんですよね。
Aqoursだけじゃない。むっちゃん、いつきちゃん、よしみちゃんだけじゃない。全校生徒が輝いているから、私たち視聴者はこんなにも浦の星女学院が大好きなのではないでしょうか。
Aqoursが廃校を阻止しようと奔走したことも、むっちゃんたちが理事長室に要望書を提出したことも、鞠莉が迷わずに承認印を押したことも
全部シャイニーです。
#10で探していたシャイニーはこんな所にもありました。実際、今回の♯11に輝いていない生徒は一人もいませんでした。
そして、
千歌っちも嬉しいんだよ。
学校のみんなが、この機会を作ってくれたことが!
むっちゃん達から始まった輝きの波は、千歌達Aqoursにも伝播します。もうすぐ無くなってしまう浦の星女学院に最高の思い出と輝きを残す為、皆やりたいことに向かって走り出しました。
ダイヤと鞠莉の関係性
Aqoursには3人のリーダーがいます。
鞠莉ちゃーん!
アーチ 、無事設置完了であります!
ご苦労!
千歌はAqoursに関すること以外ではきちんと一般の生徒として活動しています。今回重要なのは、鞠莉とダイヤの関係性です。
鞠莉は学校の代表、ダイヤは生徒達の代表として動いていました。2期からの廃校問題の時は、お互いに支え合いここまで来ました。
しかし、今回は違います。
そういうことであれば、私も生徒会長という立場を忘れて!
思いっきりやらせていただきますわ!
いけませんか?
この日だけは生徒会長の肩書きを置き、自分も楽しみたいと言いました。それを鞠莉は承認します。
ここからのダイヤは「浦の星女学院生徒会長」ではなく、「スクールアイドルが大好きな黒澤ダイヤ」として好きなことに駆け出しました。しかし、やはり不測の事態は起こってしまいます。
ダイヤが生徒会長の顔をするのはこの回では2回です。1度目はしいたけがアーチを壊した時。立場を忘れて楽しむ!と鞠莉に宣誓した直後に、ほんの少しだけ生徒会長の顔を覗かせています。
とにかく、この遅れをどうするか。
閉校祭は明日ですのよ?
自分も楽しみつつも、叱るべき所はきちんと叱るのがダイヤさんなのかな、と思いました。しかし鞠莉が下級生に語りかける時、ほんのちょっとだけ微笑んでいるようにも見えます。
手が掛かる大好きな後輩達のフォローをすることも、ダイヤにとっては愛おしい時間なのかなと思いました。
曜と千歌が対等になった日
(このシーンは1期#11「友情ヨーソロー」へのアンサーだと思いました。読む際はこの事を念頭に入れて読んでいただくとわかりやすいかも知れません。)
- 千歌の想いは曜以上
皆が休憩している時も、一人影でアーチの修復をしていた曜。周りに誰もいないことを確認して寿太郎みかんのダンボールに乗り、自分一人の空間で叫びました。
スクールアイドル部でーす!
よろしくお願いしまーす!
あなたも!あなたも!
スクールアイドルやってみませんかー?
それは1期#1「輝きたい!」で千歌が入学式に叫んだセリフ。
スクールアイドル勧誘のセリフを閉校祭の前日、誰もいない場所で叫んだ曜に、間髪いれず千歌が名乗りを上げます。
はい!
スクールアイドルやります!
曜がスクールアイドルに入るのは、千歌の呼びかけからずっと経った後。1期#1の最後です。しかし今回の曜の呼びかけに、千歌はすぐに飛び込みました。
曜が一緒にやりたい!と思っていた気持ち以上に、千歌の方が曜と一緒にスクールアイドルをやりたかった事が伝わってきた気がしました。
- 10年以上の想い
今、廃校直前の浦の星女学院は、生徒達の夢と明日への希望でこれ以上ないくらい輝いています。学校の中は明日への準備で大忙しで外の二人には目もくれません。
この瞬間だけは、曜と千歌二人だけの時間でした。
なんか、静かだね。
学校はあんなに賑やかなのに…
うん…なんかいいよね!そういうの。
外は普通なのに学校の中は、みんなの夢で、明日に向かってワクワクしてて。
時が過ぎるのも忘れていて。
好きだな、そういうの。
今までAqoursは、廃校を阻止するために頑張ってきました。この場所の魅力を外へ発信し続けてきました。
しかし、もうその必要ありません。
そんな時に内浦の皆だけで楽しむ「閉校祭」のチャンスが舞い降りたんです。
何のしがらみにも囚われずに、ただ好きなことを、好きな場所で、好きな人たちと楽しむ。
その為だけに動いていい。きっとそれが今千歌達が一番やりたかった事なのではないでしょうか。
ずっとこのままだったらいいのにね!
明日も、明後日もずーっと!
そしたら!
そしたら…
そしたら、千歌は何と続けるつもりだったのでしょうか。その言葉を遮るように曜は千歌へ大切な想いを伝えます。
私ね、千歌ちゃんに憧れてたんだ。
千歌ちゃんが見てるものが見たいんだって。
ずっと同じ景色を見てたいんだって。
この言葉を千歌に直接言うのに10年以上の時間が必要だったんです。それだけ二人にとっては重い言葉、大切な想いだったんです。千歌が曜に憧れていたように、曜にとっても千歌は憧れで。
1期#11「友情ヨーソロー」で鞠莉に言った言葉から、曜がどれだけ千歌の事を思っているかを私達は知っています。しかし、それは相談で鞠莉に言ったものであって、千歌への言葉ではありません。
そして、普段自分の本心を千歌に言えない曜が迷いなくこの言葉を伝えることが出来たのは、彼女が千歌も似た気持ちだったことを知っているから。
それを教えて曜と千歌の心を繋いでくれたのは、東京に行っていて二人と離れていた梨子からの電話です。
千歌ちゃん、前話してたんだよ
曜ちゃんの誘い、いっつも断ってばかりで
ずっとそれが気になっているって。
だから、スクールアイドルは絶対一緒にやるんだって
絶対曜ちゃんとやり遂げるって。
どうして千歌は曜ではなく梨子にこの事を言ったのか。それはきっと曜と同じく、直接本人に言うのが恥ずかしかったからかなと思います。
お互いに尊敬し憧れ合うからこそ、本当に伝えたいことは伝えにくいのではないでしょうか。
だから今回、曜が千歌にきちんと言葉として伝えたことでその心の壁が無くなり、本当の意味で二人が対等になった瞬間だと思いました。
- 曜の成長
1期#11「友情ヨーソロー」で曜は鞠莉に言いました。
私と二人は…嫌だったのかなぁって。
大好きな千歌と二人で始めたスクールアイドル。でもすぐに梨子が入り、一年生が入りました。
元々は自分が一番近くにいた当たり前にAqoursの皆が入ってきた事で、曜はほんの少し嫉妬してしまいます。それはまだAqoursの日々が曜の日常にとって当たり前ではなかったから。
しかし今回、曜は言います。
このまま…皆でお婆ちゃんになるまでやろっか!
曜が言った「皆」。
これは曜の中で自分と千歌の二人だけの時間よりも、Aqoursの皆で一緒にいれる時間の方が大切に思えたから出た言葉ではないでしょうか。
だから2期#8,9,10と、3年生との別れの予感が描かれた後の#11で、千歌と曜は絶対に叶うことのない希望を口にしたのではないでしょうか。
想いを我慢することなく、叶わないからと現実的になるでもなく。ただ素直な今の気持ちをお互いに言い合えた二人の笑顔は本当に素敵でした。
皆がやりたいことをやる日
そして閉校祭当日。ここからは特に感動したシーンをピックアップしました。
梨子ちゃん似合うよねー!
自分でリクエストしたの?
えぇ、ちょっと…憧れてて…。
梨子は前から気になっていた衣装を着たいと自らリクエストします。あの恥ずかしがり屋だった梨子が自分の意見を衣装に反映させた事が嬉しかったです。
千歌ちゃんも似合ってる。
そーお?ありがとっ!
いや、ほんとそれな
失礼しました。
そういえば、梨子ちゃんの服!
これ!すっごく参考になったよ!
そしてもう一点。
梨子がAqoursのメンバーに見られるのも嫌がっていた壁クイ本をいつきちゃんに貸していました。梨子ちゃんはAqours以外のメンバーともちゃんと仲良くなっているんだな、梨子の中でAqours以外の浦の星女学院の思い出も確かにあるんだな、と心が温かくなりました。
続いては黒澤姉妹の「LoveLive!!クイズ」。
HAKODATE、awaken the power、シャイニーを探してを見てきた私たちの涙腺を、さらっとぶっ壊しに来ましたね。
ダイヤとルビィの楽しそうな表情を見れただけで、もう感無量でした。
- 浦の星に歴史あり
私達は千歌の目線と一緒に物語を見ています。
千歌にとって浦の星女学院は在学二年目の学校で、とても大切な場所です。しかし、美渡さん、志満さんにとっても高校の3年間を過ごした大切な場所なんです。
美渡さん、志満さんが焼きみかんを配るシーンで、果南達の更に前、もっと長い歴史を浦の星女学院が積み上げてきたことがわかります。それだけ廃校する事の重大さ、在校生だけでなく内浦の皆が惜しむ気持ちが分かり、とても辛くなりました。
- よしみちゃんたちがやりたかったこと
おーい!千歌ー!
ちょっとこっちまできて!
千歌が見上げると、そこには浦女ありがとうのバルーン。
どうだ!サプラーイズ!!
でしょ?!
むっちゃん、いつきちゃん、よしみちゃんのやりたかったこと、それは一貫して感謝を伝えること。3人の笑顔が本当に輝いています。
そして浦女ありがとうの文字を支えるバルーンのアーチはAqoursの9人の色。Aqoursが支えてくれたからここまで来れて、私達も閉校祭をやろうと思えたよ、という気持ちを表しているかのようです。
せーのっ!
そして3人の号令と共に、9色のバルーンは青空へと飛んでいきます。9人の魅力をたくさんの人に知ってもらおうと遠くへ飛ばしていくようでした。
千歌の上を追い越し、どんどんと空へ広がっていくAqoursの色。きっと、この景色を見た人達は浦の星女学院閉校祭のことを忘れないと思います。
浦の星Aquariumに来ていた幼稚園児たちもいつか浦の星女学院のことを忘れても、バルーンが青空へ飛んでいった綺麗な景色は忘れないのではないでしょうか。
よしみちゃん達も、ひとつの「夢は消えない」を叶えた瞬間だと思いました。
浦の星女学院だけの輝きのカタチ
閉校祭の最後。
Aqoursは時の流れ、時の終わりと向き合います。
楽しい時間というのはいつもあっという間で
そこにいる誰もがこの時間がずーっと続けばいいのにって思ってるのに
でも、やっぱり終わりは来て
千歌も曜も、お婆ちゃんになるまでやろっか!と言いつつも、絶対に終わりが来ることを本当は分かっていて。
時が戻らないこと、もう1度同じ時間を繰り返せないことがとても寂しく思えるけど
同時に、やっぱりどうなるか分からない明日の方が、ちょっぴり楽しみでもあって
あぁ、これが時が進んでいくことなんだなーって実感出来るずら。
「ルビィを置いていかないで」と叶わないと分かりつつ姉の停滞を願ったルビィも、ルビィの願いに答えずに、寂しさを感じながらも前を向いたダイヤも、時が進むことへの期待を持っていて。
ルビィの成長を一番近くで見てきた花丸だからこそ、時の進みを実感出来て。
そして気づく。きっと二度と同じ時はないから。この時が楽しいって、思えるのかな。今こうしていることがたった1度きりだって分かっているから、全力になれる。
いつか終わりが来ることを、みんなが知っているから。終わりが来てもまた、明日が来ることを知っているから。
ラブライブが終わるまではその後のことは考えないと決めた2年生も、どんな事があっても笑顔で支えてくれた1年生も、明日が来ることを知っているから。
未来に向けて、歩き出さなきゃいけないから!
そしてなによりも、誰よりも浦の星女学院を守りたかった鞠莉が未来へ歩き出すと決めたから。
皆、笑うのだろう。
だからこの瞬間は皆笑顔なんだと思います。
終わりたくない、ずっとこのままでいたい。大切であればあるほど、そう思うのは当たり前です。しかし、浦の星女学院の皆が前を向くことが出来た今なら、彼女たちは素直な気持ちで「ありがとう」と「行ってきます」を言えると思いました。
だからこそ、私にはこの輝きと同じくらい
浦の星女学院の皆も輝いていると思いました。
浦女の生徒がこの皆で良かった。
心からそう思いました。
そして、鞠莉の最後の挨拶へ移ります。
これで浦の星女学院、閉校祭を終わります。今日集まった人を見て、私は改めて思いました。
この学校が、どれだけ 愛されていたか。どれだけこの街にとって、皆にとって、大切なものだったか。
だから…この閉校祭は
私にとって、何よりも幸せで。
私にとって、なによりも温かくて。
鞠莉さん…。
…ごめんなさい。
鞠莉は閉校祭を通じて、浦の星女学院の生徒達以上の「みんな」の存在に気がついたんだと思います。そのみんなの大切な場所を守れなかった鞠莉は、あの場所で謝るしかなかったんです。
しかし、この場所にいる皆は鞠莉の努力を知っています。特にむっちゃんは、誰よりも近くでAqoursの活動を見てきました。
努力の量と結果は比例しなくても見てくれる人達、努力を認めてくれる人達はいるんです。だからむっちゃんがAqoursコールを誰よりも早く叫んだんだと思います。
それでも鞠莉は自分のせいだと一歩引いたまま。そんな鞠莉の背中を押すのは、理事長をいつも支えてきた生徒会長のダイヤでした。
果南が手を引き、
ダイヤが背中を押すことで
鞠莉は最高の笑顔になるんです。
浦の星女学院の理事長が鞠莉で本当によかった。それは私自身、ずっと鞠莉に言いたかった事です。Aqoursコールで届けてくれたむっちゃんたち浦女の皆、そして鞠莉を導いてくれた果南とダイヤに心からありがとうを言いたいです。
Aqoursはどこに?空と海に!
今まで当然のようにあった砂浜の名前は、波に飲まれることで、恐らく消えてしまったと思います。(本当に消えたかは波が退いてみないことにはわかりませんが…)
では、なぜ飲まれてしまったのか。正直全くわかりませんが、自分なりにこじつけてみました笑
Aqoursの文字を書いたのはダイヤです。3人だったころのAqoursを無くしたくなくて、千歌達に託した名前です。それを千歌は知らずに受け継ぎ、今では9人の名前になりました。
この中には浦女の皆と内浦の皆の想いは入っていません。しかし、浦女と内浦の皆が勇気はどこに?君の胸に!を合唱し気持ちを込めた時、波はAqoursを飲み込みました。
波がAqoursの文字を消したのではなくAqoursが海と一つになったと考えてみるのはどうでしょうか。
味方なんだ空も、この海も!と未来の僕らは知ってるよで歌っているように、
むっちゃんたちが飛ばしたAqoursの想いは空へ。
そしてAqours自身の想いは内浦の波に飲まれ海へ。
浦の星女学院でやりたいことを全てやり切り、空と海を味方につけた今、Aqoursに敵はいないと思いました。
次の目的地はアキバドームです。
あこがれの舞台に行ってきます。
浦の星女学院の名前を刻みに。
μ'sを筆頭にした、あの時SUNNY DAY SONGを歌ったスクールアイドルたちが残してくれた最高の舞台に、遂に挑む時が来ましたね。
一生消えない名前を、思いっきり刻み付けて欲しいです。
これにて、今回の感想を閉じさせていただきます。
次回の#12「光の海」。
またとんでもない回が来る予感がしますね…。
私の涙腺はもつのでしょうか…(我慢する気は無い&ほぼ負け確定)。
それでは、また次回の感想で!