グレイテスト・ショーマン 感想

ミュージカル初心者にこそ見てほしい。

なぜなら僕がミュージカル初心者だったから。

僕はミュージカル映画はハイスクールミュージカルくらいしか見たことありません。

そして英語力皆無で頭もよくないので字幕を追うので精一杯な人間です。

そんな僕でも楽しめた。もう一度見たいと思えるくらいにはエキサイティングだった。

無を有にすり替える偽物の物語

大切なのは夢?成功?名声?お金?

沢山の人を笑顔にしたP.T.バーナムの人生の一端。

約2時間の人間賛歌。人生賛歌。

才能ある男、P.T.バーナムの成功と失敗の物語。

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一人の男の人生を通して見た世界はとても色鮮やかで魅力的でした。

周りよりも背が高り人、体重がある人、肌が黒い人。富裕層が貼った『価値のない低俗なもの』というレッテルを剥がし『魅力』にすり替える彼の考えは綺麗で優しくて。成功にしがみつき、失敗を重ねる姿は見ていられないくらい人間らしくて。

そんな彼が目指した地上最大のサーカス。

キラキラとした輝きではなく、燃え続ける情熱のような人間臭さ溢れる輝き。

若いころの自分が思い描いた夢の舞台に、全てを乗り越え到達したあのシーンの興奮は、思わず「まじかよ…」と声が漏れるほどでした。

本当にやってくれたなという思いです。

 
歌が本当に心に響く。

ミュージカル部分、最初は字幕を目で追いつつキャストを見ていたのですが、すぐに止めました。あれは歌というか感情の解放に近いものだった(多分ミュージカルってそういうものだとは思いますが(笑))ので、雰囲気を掴んだ後はキャストの表情と歌に全神経を使いました。

なんと言っても歌が素晴らしいんです。

どの歌も良かったのですが、個人的にはバーナムとフィリップの「The Other Side」がめちゃくちゃ好きです。

バーナムの本気の誘いに対しフィリップも本気の歌声で返し、最後には手を取り合いつつハーモニーに繋がるという流れはワクワクしました。

儲けの取り分を議論するシーンは特にお気に入りで、ten!と互いに合意して酒をあおるシーンは最高にクールでした。

 

バーナムの魅力にあてられた人々の物語でもある

バーナムのサクセスストーリーは痛快の一言に尽きます。

彼の無から有を生み出す才能は驚きの連続でした。

彼が家族を幸せにするため、金を儲けるために集めたものはユニークな『人』。

皆から疎まれ、蔑まれてきた『人』。

異質なものを拒む人達の中で『異質』は『特別』なんだ、オンリーワンなんだと示した彼だから、多少の失敗や軌道がぶれた時でも仲間たちは見放さない。

一人では挫けてしまう人たちに手を伸ばしてきた彼だから、自分が挫けかけて立ち上がれない時に支えてくれる仲間がいる。背中を蹴飛ばしてくれる仲間がいる。

バーナムの輝きに魅せられた周りの人々もまた、輝きに溢れていました。

資産も階級も何もかも失った。

残ったのは友情と、愛情と、誇りをもてる仕事だけ。

これは上流階級を捨ててバーナムの夢を共に追いかけたパートナー、フィリップ・カーライルの言葉です。

確かにお金や資産は大切ですし信用できます。絶対的に価値のあるものです。

しかし本当に大切なことは目に見えないもの。

サーカスの皆と築き上げた『居場所』だったり、沢山の障害を乗り越えて繋がれた恋人だったり、素晴らしい人生を教えてくれた師との絆だったり。

お金とコネという絶対的な価値のあるものを持っていたあの時よりも、目には見えないけれど胸を張って素晴らしいと言えるものを手に入れたフィリップは、確かに『今』を生きていました。

幼少期の夢の舞台に、たくさんの困難を乗り越え立ったバーナムを見た時の感動は言わずもがなですが、「君ならできる。幕はもう上がっている。」と最後の「The Greatest Show」で自分が積み上げてきたものを継承するかのようにフィリップにハットとステッキを渡したところはバーナムにとっての終わりとフィリップにとっての始まりを感じ、涙してしまいました。

 

偽物が本物になる物語

『仲間との絆』が、成功で積み上げた利益や名声なんかよりずっと価値のあるものだと知った時のバーナムの表情は本当に輝いて見えました。

家族の為のお金稼ぎと、自分の欲を満たすための成功への執着。

天才の彼でも両方を掴むことはできませんでした。

それもそのはず。

彼にとって一番大切なものは『家族』でした。

妻、愛娘たち、そしてサーカスの団員。

皆が『家族』。

家族の笑顔の為に動く彼だから、沢山の人を笑顔にできる。

どんなに汚い言葉で罵られようと、蔑まれようと、彼は誰かの笑顔の為に駆け抜ける。

その先にあったのは『無を有に見せかける偽物』ではなく、『見てくれる人たちを最高の笑顔に変えることのできる本物』の自分。

文句なし。最高の物語でした。

 

終わりに。

本当に最高の物語を見させていただきました。

ヒュー・ジャックマンをはじめとするキャスト、制作スタッフの皆様に最大の感謝を。

そして、サーカスを作り上げたP.T.バーナムに最大の敬意を。

また見に行きます。人間賛歌の最高のショーを。

 

P.S.

本当に楽しい2時間でした!!!

ブルーレイが出たら買わせていただきます!!!