#10「シャイニーを探して」感想

 今回は廃校が決まったときのように、大きな出来事があったわけではありません。最高に素敵なライブシーンがあったわけでもありません。ただ仲間と練習して、お年玉を欲しがって、思い出を語って、星を探しに行っただけ。

なのに、なんでこんなにしんどいのか…。
今回の♯10「シャイニーを探して」。ラブライブ!サンシャイン!!の中でも、特に重要な回だと思いました。

 

毎度のことながら、個人的な主観で語りたいことを勢いのまま書いていきます。こんなこと考えたやつもいたんだな、程度に読んでいただけると幸いです。

 

3年生について書くと涙が止まらず死活問題なため、今回は千歌ちゃんについて思うことを語りたいと思います。

 

今回は4つのトピックスで書いていきます!

  •  千歌の書き初めから分かること
  • それは雪か、輝きか
  • 再び輝きはじめる予感
  • 予感は青い光となって

 

 

千歌の書き初めから分かること

千歌が勢いよく書き初めをするシーンですが、子供っぽい言動と伊波さんの演技がバッチリ噛み合っています。

皆を励ましたり、諦めずに道を探したりする千歌がやけに子供っぽい立ち回りをしていますが、これは家族しかいない空間ゆえの心の緩みを表しているのではないでしょうか。

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いつも仕事で忙しい中応援してくれる志満さん、美渡さん。

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そして普段なかなか会えない母親が皆でテーブルを囲むゆったりとした時間。

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普段Aqoursをまとめ、浦の星女学院の期待を一身に受け止める千歌がふと心を緩ませ甘えるシーン。そう考えると、この千歌ちゃんがめちゃくちゃ可愛く感じませんか?

 

また、千歌が出ていった後で千歌の母が言った一言。

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いいよねぇ~

諦めずに続けるって!

茶化していますが、千歌が諦めずに走り続ける姿が一番嬉しいのは、多分千歌の母だと思います。年相応のこどもっぽさながらも段々と見えてくる成長が、ニヤニヤしてしまうほど嬉しいのではないでしょうか。

私たちにとっては高校2年から始まった1年間の物語でも、千歌の母親にとっては17年の物語ですから。

 

そして、ただ好きなだけでこのシーンをピックアップした訳ではありません。笑

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今年で高校3年になる私が言うのもなんですが

初見ではあまり気にしなかったこのセリフですが、何度か見返してみて、今回のテーマの一端を握っている気がしました。

来年は3年生という事は、今はまだ2年生なんですよね。なにを当たり前のことをと思う方もいらっしゃるかと思いますが、この「1年」という時間の流れが重要だと思うんです。

この時間の流れを意識させるために、敢えて

2年生で年相応に甘えたがりな千歌

淡島遊歩トンネルで互いの夢を尊重する、この1年間で成長した3年生

という流れにしたんだと思いました。

 

それは雪か、輝きか

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あと三か月もないんだよね。

ラブライブが終わったら、すぐ卒業式で。

鞠莉ちゃんだけじゃないわ。ダイヤさんも、果南ちゃんも。

春になったら、もう皆と学校帰ったりバス停で皆とバイバイしたりもなくなって…。

制服も、教室も…。

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何気ない日常が大好きだった千歌は3年生がいなくなる未来を想って、つい暗い表情をしてしまいます。大好きな3年生との終わりと向き合う彼女たちに、雪か、輝きかはわかりませんが小さな光が舞い降ります。

Aqoursはどうなるの?

3年生が卒業したら…

梨子の問に、千歌は次のように述べました。

ラブライブが終わるまでは、決勝で結果が出るまでは、そこから先の事は考えちゃいけない気がするんだ。

全身全霊、全ての想いを懸けてラブライブ決勝に出て優勝して、ずっと探していた輝きを見つけて!

それが学校の皆と卒業する鞠莉ちゃん、果南ちゃん、ダイヤさんに対する礼儀だと思う。

ここの部分、少し疑問に思いました。

最高の終わりを達成するために、残される1,2年生のAqoursのその後は一旦考えない。それは本当に全身全霊、全ての想いを懸けるといえるのかな、と。

μ'sはラブライブ決勝前にあの砂浜で、存続か、終わりにするかを皆で泣きながら決めました。あの時の涙と覚悟、メンバーの想い全てを背負って終わりを宣誓したからこそ、限りある時間を精一杯輝くスクールアイドルを体現しました。

本当の意味でAqoursが全身全霊、すべての想いを懸けるのであれば、続けるにせよ、終わらせるにせよ、きちんとAqoursは卒業のその後と向き合うべきだと思いました。

分からない。
なんにも考えてない。

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この言葉を発した時から、降り注ぐ光は消えていました。

 

再び輝きはじめる予感

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学校説明会が中止になった時、彼女は天井を見て考え、キセキを起こす覚悟を決めました。

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学校説明会とラブライブ予備予選が同日になり、どちらも諦めたくない時、彼女は屋根の上で空を見上げました。

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大技が出来なくて挫けそうな時、彼女は空を見上げました。

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廃校が決まり、ラブライブ決勝に本当に出るのか悩んだ時も、彼女は空を見上げました。

そんな千歌だからこそ、雨雲が覆う空に星を見つけることができたのかも知れません。

皆には見えなくても、千歌には見つけられるんです。

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too,late!
準備all right?

あっ!星!!

えぇ?どこですの?

‪鞠莉‬ちゃん!

all right!

‪鞠莉‬の準備all right?に対し、千歌は星を見つけることで応えました。3年生が見つけることの出来なかった星を、いつも空と向き合ってきた千歌だからこそ見つけることが出来たのではないでしょうか。千歌が道を示したことで、‪鞠莉‬はより深くアクセルを踏み込めるんです。

 

そして2年生3人の砂浜で、千歌は今を大切にするために先のことは考えない。それが3年生への礼儀だ、と言いました。
しかし、‪3年生たちは言います。
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何をお願いするつもりだった?

決まってるよ
ずっと一緒に居られますように?

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もう離れ離れになるのに?
だからだよ
だからお祈りしておくの!

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いつか必ず、また一緒になれるようにって!

スクールアイドルとしての限りある時間の、更に先。これからも続いていく新しい未来を見据えたからこそ、改めて「今」を大切にする3年生たち。

3年生は晴れやかな表情を、そして対比するように曜とルビィは暗い表情をしています。下級生は全員、3年生と離れたくないんです。だから、3年生の皆が卒業のその先を話すのがつらいんです。
そんな時、千歌が明るい声で言い切ります。
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なれるよ!
絶対一緒になれるって、信じてる!

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ラブライブ決勝の先のことは考えなかった千歌が、3年生の未来を、そして自分たちで離れ離れになることを選びつつも、また一緒になれますようにと願う愛しい矛盾を、丸ごと抱きしめました。
あの砂浜で降るのをやめた輝きでしたが、このシーンを見て、私はもう1度輝きが降りだす予感を感じました。 そして、千歌は2期では沢山考え、沢山悩みます。苦しんで、もがいて、満身創痍になりながらも自分の答えを見つけてきました。だからいつも、集まる時は一番最後だったのかも知れません。

その千歌が、今度は誰よりも早くバスを降り、雨空と向き合います。

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この雨だって、全部流れ落ちたら、必ず星が見えるよ。

このシーン、すごく心が震えました。

千歌は空を見上げ、やまない雨と対峙します。

千歌の目に広がるのは暗闇だけ。千歌は、自分はまだ輝いておらず、輝きを探したい、見つけたいと空を見つめます。

しかし、バス内のAqoursメンバーには、雨の粒がバスのライトに反射して、千歌の後ろ姿が輝いているように見えていると思いませんか?

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まるでラブライブ無印時代にμ'sが穂乃果を神格化していた時のように、

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Aqoursには千歌が輝いているように見えたのではないでしょうか。しかし、千歌に穂乃果のような雨をやませる力はありません。一人では力不足なんです。‪

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鞠莉‬がバスの光を消し、9人全員が千歌と同じ場所に立ち雨空と対峙したからこそ、

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雨はやんだのではないでしょうか。

 

自分の色々な可能性を捨てて浦女の存続に奔走した‪鞠莉‬が、今度は自分のためだけに留学を決めたこと。

ダイヤが東京の大学に進学を決めたこと。

果南が資格を取る為に海外に行くと決めたこと。

未熟DREAMERたちが成長し、本当に自分だけのために踏み出した1歩。出発の場所は同じでも、3人とも向いている方向が違います。3人の間には強く固い絆が、そして内浦には3人で10年以上積み重ねてきた素敵な想い出があります。温かいけれど彼女たちの歩みを止めようとするその鎖に、‪鞠莉‬たちが囚われなくて本当に良かった。いつか心が求める誇らしさを掴んだ3人が、最高の笑顔で笑い合う未来を見たいですね。

 

予感は青い光となって

前回の記事「シャイニーを探してみた」 で、私は次のように書きました。

μ'sが渡した白い羽根を染めた青色。

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もしかしたら、その青色はこの光だったのかも知れません。

一期#1「輝きたい!!」のED挿入歌「決めたよHand in Hand」で2年生3人の周りを舞う青い光。それは、千歌が普通怪獣の日常からキラキラしたスクールアイドルの世界へ飛び出した時に見えた光です。

輝きというには朧気なその光こそ、後のAqoursにとっての「純粋な欲」なのではないでしょうか。

この光はAqoursがμ'sの背中を追いかけ始めたことで、それ以来見えなくなります。

しかし、

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見つかりますように

輝きが…

私たちだけの輝きが

見つかりますように

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千歌が1度は目を瞑った未来と、3年生を通して向き合ったからでしょうか。朧気だった青い光は、確かな青い輝きとして彼女たちに振り続けました。

Aqoursとしての残された時間にエールを送るような、そして3年生のこれからの門出を祝福するような青い輝きに、思わず泣いてしまいました。どうか、彼女たちの限りある時間が、笑顔で溢れますように…。

 

 

 

しかし、まだ私の中でしこりは残っています。

それはAqoursの存続。

彼女たちは「浦の星女学院スクールアイドル Aqours」。Aqoursが挫けそうになった時、浦女の皆が心からの言葉を声にして、支えてくれました。しかし、屋上と中庭という声は届くけれど手は届かない距離でした。

同じ視点、同じ場所で、もう一度向き合う時が来たのかも知れません。

次回の#11「浦の星女学院」、きっととても大事な回になると思います。

 

今まではエモかったシーンについて勢いで感想を書いていたのですが、今回は自分なりに考えたことをまとめてみました。

 

少しでも楽しんでいただけたのなら幸いです!

では、また次回の感想で!